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淡路町の家

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西片建築設計事務所の小野弘人氏より、ご自身が設計に関わられた「淡路町の家」の写真が掲載された平成建設HPをお教え頂いた。撮影は山岸剛氏。http://www.heiseikensetsu.co.jp/photo21_1.html 通りに面したファサードの写真を見ると、この建築の設計が非常…

画廊巡り

GALLERY OBJECTIVE CORRELATIVEで坂川弘太/村山伸彦展。坂川の作品は、コンピュータによって制御され、機械仕掛けによって回転する両側の機械をストッキングに似た伸縮性のある素材が結んでいるという形式。片側の機械だけが回転し、ひも状の素材が捩れるこ…

建築がうまれるとき 利部志穂

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近代美術館で、「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」展。当たり前だが、いつもと客層が異なり、会場は建築に興味がありそうな人たちで一杯であった。大体において、私には美術の学生よりも建築の学生のほうが真面目であるという印象がある。こ…

中国美術を導入すること

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先日記事にした「中国の山水と花鳥」展を観たことをきっかけに、中国山水画、特に袁派についてもっと知りたいと思うようになり、日本語で読める文献を探してみたが、袁派はおろか中国山水画に関しても、あまり充実した出版状況にないということがわかった。…

中国の山水と花鳥−明清絵画の優品− 町田市立国際版画美術館

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個人コレクションに基づく、明、清時代の山水花鳥画を集めた展覧会である。宋元画を引き継ぐ明時代の作品では、陳淳の「倣米家山水図巻」が、横長の画面にたっぷりとした墨を含んだ筆触のコントロールに優れていた。ただ、面白い作品は明よりも清時代の物に…

最近目にして良かったもの

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hino galleryで小林良一展。朱に近い強い赤に対しては濃い緑、ピンク色に対しては薄めの黄緑というように、パターンの異なる補色対比を連動させて絵作りをしている。形態も色彩も、予め計算された範囲での作業では全くなく、筆が進むにつれ、その都度判断力…

文脈の摩擦が示すこと

猿が選挙演説をするという設定で制作されたイー・モバイルのテレビCMが、黒人の大統領候補であるオバマ氏の演説風景を、人種差別的なパロディに仕立て上げたものだという解釈による批判が、アフリカ系アメリカ人を中心に噴出しているとCNNが報じている。http…

「組立」永瀬恭一×古谷利裕展 masuii R.D.R gallery

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通常のギャラリーでの展示に加え、専用ブログにおける企画段階からのドキュメントや、小説家・磯崎憲一郎との対談企画、展覧会出品者を含む4人の作家によって執筆された小論を纏めたフリーペーパーを会場で配布するなど、多面的に構成されたユニークな二人…

エミリー・ウングワレー展 国立新美術館

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エミリー・ウングワレーの作品を論じるときに、モダニズム絵画との関連がよく指摘されるようだが、ウングワレー自身はそのような美術史的な文脈の外を生きた画家である。その技術や感覚は、アボリジニの伝統的な儀礼であるボディペインティングや、祭祀のた…

エルンスト・バルラハ 鈴木正治

あることがきっかけで、2006年に東京で開催されていた、エルンスト・バルラハの展覧会を見逃したことを思い出し、ショックを受けた。当時も、見逃したことがわかった時点で同様の感覚を覚えた記憶があるが、2年経った今も変わらぬ鮮度で同じ気持ちを持…

横浜・ターナー賞

Art Gallery山手で『山手の坂道と風景展』を観る。ギャラリーを出て、中華街が近かったので昼食に中華まんでも買おうと思い、朱雀門から入ってしばらく歩くと、威勢の良いおばさんに店頭で声をかけられた。客が他にいなかったことと、買う買わないの判断を飛…

中西夏之新作展(承前)

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昨日の記事を書いた後も、自分の中でしばらく中西夏之についての考えが続いていた。その中で、自分は11年前の鮮烈な記憶に囚われているせいで、その間に中西夏之の内で静かに進行していたある可能性について、十分に把握できていなかったのではないかとい…

中西夏之新作展 松涛美術館

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渋谷区立松涛美術館で中西夏之新作展。1997年に東京都現代美術館で観た個展では、キャンバスの矩形を締め付けるような弓形のモチーフや、長い柄のついた筆によって描かれた×状の息の長い筆触の連なりが、画面に孔を穿つような鋭さを見せていたのに対して…

リー・フリードランダー『桜狩』

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RAT HOLE GALLERYでリー・フリードランダー『桜狩』。日本の桜に魅せられたフリードランダーは、1977年を皮切りに、79年、81年、84年と繰り返し桜の季節を日本で過ごし、桜とそれに連なる風物を写真に収めている。例によってフリードランダーは、カメ…

屋上庭園 東京都現代美術館

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庭をテーマとした展覧会。庭は人為的に囲いをつけられた生成する自然であり、アナーキーに成長し続けようとする自然の諸力に対して、人間が理をもって裁断を行う場である。同様に、作品を生み出すためには力の発現が肯定されるのと同時に、純粋な力を制作と…

福居伸宏展「ジャクスタポジション」 TKG Contemporary

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TKG Contemporaryで福居伸宏展「ジャクスタポジション」。夜間に撮影された都市の写真が、写真同士の間隔を無くして、長くパノラマ的に並べられている。民家やオフィスの窓、街灯などから発せられる人工的な光が丁寧に写し取られており、遠くの空が写された…

VOCA展2008 上野の森美術館

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上野の森美術館でVOCA展2008。なぜ平面なのかという疑問をとりあえず置いておくとして*1、様々な傾向の作品が並列的に展示されているなかで見えてきたのは、「何を描くか」と「いかに描くか」が対立していたということだ。「いかに描くか」という課題が前景…

アートフェア東京・回想のヴィトゲンシュタイン

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アートフェア東京2008。面白かったのはhino galleryで観た高見澤文雄の複雑に絡み合う線をモチーフとした油絵と、角匠で展示されていた喜多川歌麿の『絵本小町引』、西川美術店にあった宋時代の漆器、「朱漆葵形盤」。同じ宋時代の黒漆の皿もあったが、…

池田満寿夫-知られざる全貌展 東京オペラシティアートギャラリー

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初期のキャンバスや、よく知られた版画の作品群は、さまざまな作家からの影響こそ感じられはしても、池田満寿夫自身が何をしたかったのかが上手く伝わってこない。晩年までは、ひたすら習作の時代であると考えたい。特筆すべきは、90年代以降の陶芸作品で…

熊谷守一展 埼玉県立近代美術館

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美術学校時代の初期作品から晩年の日本画に至るまでの作品群を網羅した、質・量ともに充実した展覧会だった。確かなデッサンに裏付けられた初期の人物画からは、対象に向かう優れた認識能力が伺える。この時期の作品には、色彩は殆んど用いられておらず、画…

清宮質文展・プライマリーフィールド展

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JR横須賀駅で電車を降りると、港には幾隻もの灰色の軍艦が聳えていた。その灰色をバックにして、遠くを白いカモメが一羽二羽と飛んでいる。鳥の餌となる菓子を海に向かって投げ込んでいると、遠心力が強まるようにしてカモメが次々に集まってくる。カモメは…

画廊をみて歩く

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秋山画廊で祖母井郁展。ギャラリーの空間に対しては、小ぶりの立体造形が3つ配置してあるさっぱりとした展示で、一見さっと見れてしまいそうな印象だが、ゆっくりと細部の素材感に目をやっていると、立体の外側の空間に横顔の形が浮かび上がってくる。どの…

六本木クロッシング2007:未来への脈動

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割引券を頂いたので、「六本木クロッシング2007:未来への脈動」展を観にいった。1989年に起こったベルリンの壁崩壊によって、社会主義体制が終焉を迎え、同時に既存の資本主義社会が高度化していったことに呼応するかのように、純粋芸術という枠組…

ヴァレリー・アファナシエフ

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神奈川県民ホールで、ヴァレリー・アファナシエフのピアノリサイタルを聴く。プログラム前半のどこまでも繊細で優美なワルツと、後半の力強いポロネーズが対比される。曲調がどれほど異なろうとも、アファナシエフがピアノへ向かう不動の姿勢は変わらない。…

塩田千春

横浜の神奈川県民ホールで塩田千春展を観る。塩田はドイツ在住の作家である。巨大な建築物に毛糸を張り巡らせたり、ピアノを焼き焦がすインスタレーションで知られている。同じドイツということで、ついボイスやキーファーやりヒターを連想してしまうが、実…

ウィリアム・フォーサイス

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メゾンエルメスで、フォーサイス振り付けによるダンスの映像を観る。ダンサーには、コレオグラファーによってプログラミングされた身体の動きを機械的に上演することが求められている。物凄いスピードで数センチ間隔での狂いの無い演技が、複数のダンサーに…

脱主体的表現の二様態

リチャード・ブローティガンの小説、『西瓜糖の日々』において、世界は西瓜糖で満たされている。周囲に西瓜畑があるという記述はあるものの、西瓜糖が西瓜に由来しているのかどうかについての説明はない。iDEATH(地名)の人々は、この有機物が解体した後で…

画廊逍遥

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PUNCTUMで東京8x10組合連合会 「Tokyo 8x10」展。大判カメラで丁寧に撮影された写真が並ぶ。機材の性質上機動力はないが、その代わり、きちんと対象を見て撮るという、基本に忠実な姿勢が美点として浮かび上がる。動かない画像を隅々まで眺めることができる…

青山二郎 北大路魯山人

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世田谷美術館で「青山二郎の眼」展を観て、その足で日本橋三越の北大路魯山人展に行く。世田谷美術館のある砧公園は、小学生の頃毎年遠足で訪れていた場所であり懐かしい。子供のころは、公園が果てしない大草原に見えたものだが、今見ると、昔の記憶に比べ…

内海聖史 カズヒコ カケガワ

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GALERIE ANDOで内海聖史展。作品の形式は、前回の資生堂ギャラリーでの個展を引き継いだ形となっている。前回も今回も、壁面の大きさに沿って作品の大きさが決められており、前回の巨大な作品で使われていた大きめの丸い筆触は、今回、作品の大きさが縮小し…