diary

物語の機能には寓意性と共に、記憶の保持がある。 宗教的教義の多くも、物語化し、更にテキストと口承へと分割することで、命脈を繋いできた。

世界初の紙幣は中国で生まれた。当初は兌換紙幣(銀本位制)だったが、経済政策上次第に紙幣が乱発されるようになった結果、不換紙幣となり、通貨はインフレによる試練を受けた。第二次大戦後のブレトンウッズ体制下においても、金とドルとの交換を保証した…

ラウル・クタールが亡くなった。『勝手にしやがれ』、『突然炎のごとく』のカメラワークは鮮烈という他ない。『突然炎のごとく』は、学生時代にボストンの小さな映画館で初めて観た。主演の3人が歩きながら戯れ、カトリーヌが突然駆け出すシーンがあった。…

櫻井伸也展"Colors"

福岡から茅場町に移転した、HEIS CONTEMPORARYで櫻井伸也展"Colors"を観る。 http://www.heis-g.com/info.html5月に観たGALERIE PARISでの個展から、色彩、マチエール共に密度が増している(同時に抑制性も働いていた)。同様の手法を使いながらも、常に新し…

埼玉近美で竹岡雄二を観て後、世田谷美術館でマヌエル・アルバレス・ブラボを観た。竹岡も面白いところがあるが、ブラボは特に良かったのでカタログも買った。長期に渡る研究を反映し、内容も充実している。ブラボの写真は全てが比喩になっており、凄まじい…

「お気持ちの表明」について

天皇にまつわる様々な伝統を継承しつつも、人間宣言を経た後の象徴天皇であるからには、土葬などの前近代的な風習を辞め、重い殯の儀なども可能な限り簡素化し、生前退位も認めて欲しいと。天皇は憲法と皇室典範によって縛られ、国政に関する権能を一切持た…

先日まで開催していた時のかたち展にて、同じ出品者である80歳の大先輩と知り合い、母校の中央大学出身の画家が意外に多いということを教わった。美術研究会というものがあって、小茂田守介など、当時活躍していた画家が幾人も出ているとのこと。小茂田と美…

箱根の岡田美術館で8月末まで公開されている、歌麿の《深川の雪》は必見だが、北斎の肉筆春画も公開されており、これが素晴らしかった。春画の定型的なモチーフ、構図を踏襲しながらも卑猥さが全く感じられない。春画を正真正銘の芸術へと高めている。同美…

備忘録

建築と理念(ドローイング)に関する、三松幸雄さんとの対話。https://www.facebook.com/uedakazuhiko/posts/732803850135503

BI

「機械が人間の知性を超える日をどのように迎えるべきか?――AIとBI」 井上智洋 http://synodos.jp/economy/11503 シンギュラリティーによって、人間の労働力が不要になったとき、人間は自給自足の生活か、利子及び市場における資本取引による収益によって生…

http://d.hatena.ne.jp/furuyatoshihiro/20141112(『偽日記』2014-11-12) 具体性が不明で、抽象化された物の不気味さ。物は常に具体的な物なので、物を徴づけている具体性が抹消されると、交換のための媒介項である貨幣の抽象性と見分けがつかなくなるために…

矢野 静明展 色彩に関する断章

3月23日(日) 15:30〜17:00 「出品作品をめぐって」上田和彦×矢野静明 http://goo.gl/Hbi1Wk

組立-解体

近現代美術史、美術理論がご専門で、編集者の筒井宏樹さんを迎えて討議を行います。筒井宏樹×組立《オルタナティブ・アート・セオリーに向けて》 日時/2014.3.29 19:00-21:00 場所/桑沢デザイン研究所7Fサテライト教室展示、出版、シンポジウムから教育まで…

鶴見俊輔 永遠の感覚

虹を見たとき、心が跳ね上がる永遠は価値観が発生したときに生じるそれは、霊魂不滅の生きられた感覚Exactness is a fake.公理の体系は作られたものだ

アントニオ・タブッキ「わが友人、忠彦」

http://sowwwt.suac.ac.jp/~hidedoi/001_004_tabucchi.pdf 文章のなかで、自分は小津ではないと語っているが、飾らない素朴なタイトルは、深い友情を表すのに十二分の効果をあげている。

小鍛冶白頭

NHK古典芸能への招待、宝生流の能楽「小鍛冶」(白頭)は圧巻だった。帝の勅使による命で劔を打つことになった小鍛冶だが、自らの技量に沿うような相槌がいない。稲荷明神で祈りを捧げ、相槌を所望すると、どこからともなく童子が現れる。童子は小鍛冶を励ま…

二つのシンポジウムの文字起こしを一部担当している。これがなかなか面白い作業で、論点は下に貼り付けたお二人の発言に集約されているかと思うが、個人的には語り手の語り方の癖を明晰に意識することができたのが収穫だった。これは、録音を聞くだけではダ…

批評の凋落を嘆く愚か者たち。批評の命脈は、もうとっくに尽きているというのに。批評とは、正しく距離を取ることである。批評が本来住まっている世界とは、遠近法的眺望と全体的眺望が大事である世界、ひとつの立場を取ることがまだ可能であった世界なのだ…

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組立-対話のフランシスベーコンの回が公開されました。http://kumitate.org/dialog/dialog9.html window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.…

「日本の同質性」をひたすら疑う議論には飽きている。むしろ、同質性を否定しつつも不可避的に浮かび上がってくる日本というものの観念に集約されている政治性について議論をした方が生産的だ。岡倉覚三の「アジアは一つ」の背後には当然まだら状の政治性が…

組立-対話のエル・グレコの回についてご感想を頂いた。超越性とmodernityとの関係やphysicsとmetaphysicsとの関係が具体的に描出されたという意味で、今回の回顧展は非常にアクチュアリティーを持ったと思う。相手あっての対話なので、どう転ぶかは予測がつ…

山口昌男が亡くなった。最近、『二十世紀の知的冒険』というタイトルの対談集を読んだばかりだった。ヤコブソンやレヴィ=ストロースなどの超一流の学者やシルヴァーマンのような先鋭な音楽家と対談をさせたら右に出る者はいないと思える程、素晴らしいもの…

永瀬恭一さんが、組立のグレコを巡る対談について後書きを書いている。 http://d.hatena.ne.jp/eyck/20130301 ほかならぬ、外から来たグレコが生産-消費というサイクルを作ったという視点は面白い。商業の基本は距離の差を価格の差に転嫁して利益を上げるこ…