鷹見明彦氏のこと

ある美術評論家アーカイブをめぐって――文化財情報資料部研究会の開催(東京文化財研究所
 
2005年に京橋のPUNCTUMというギャラリーで初めての個展を開いたとき、美術評論家の鷹見明彦氏が観にいらしたことがあった。作品のコンセプトや当時興味のあった作家のことなどについて、随分と長く話したのを覚えている。まだキャリアの浅かった私の個展にも観にいらしたくらいなので、相当の数の展覧会を観て歩いていたのだろうと思う。その時にも、何かの展覧会の企画をしている雰囲気だった。鷹見氏が「また連絡する」と言って会場を出たきり、再びお会いすることはなかったが、何かに突き動かされるようにして、現場を観て歩いていた美術評論家の佇まいが、ずっと心に残っていた。