2006-01-01から1年間の記事一覧

日本民藝館、柳邸、スリップウェア

駒場の日本民藝館に行くと、偶然本館の向いにある柳邸の修復披露を行なっていた。いつになく人の入りが多い。柳宗悦自身が設計したというこの家は、和洋折衷様式で建てられており、本館同様基礎部分の石と木造との対比が印象的である。内部空間においても洋…

リュック・タイマンス展 ワコウ・ワークス・オブ・アート

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リュック・タイマンスの作品は、ポラロイドや映像などの先行するイメージを手掛かりに描かれることが多い。描かれているものは、人物や室内、風景や植物など多岐に渡っているが、いずれも対象と映像とのズレが更にそれを絵筆で描くことによって増幅されてお…

伊藤若冲 「動植綵絵」

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皇居の大手門内にある、三の丸尚蔵館で伊藤若冲の「動植綵絵」を見た。若冲の絵は形態への意志と写生とが特異に切り結んでいるという観点から、西洋画におけるセザンヌと似た位置にあると思われた。同じ江戸時代の画家で言えば宗達や光琳、西洋ではセザンヌ…

パウル・クレー(承前)

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クレー作品の構造は、勿論タブロー全体に対する分節として捉えられるものであるが、同時に個々の小さなユニットに分割できる可能性も有している。先日の文章の中で、「空間を画面の内側に無限に織り込む」と書いたのはそのような意味を含んでいる。クレーの…

パウル・クレー展  線と色彩

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今年の2月に大丸ミュージアム・東京で開かれたパウル・クレー展を見に行った。昨年ベルン市の郊外に、レンゾ・ピアノ設計によるパウル・クレーセンターが建築され、その開館準備に伴って、所蔵作品の一部が貸与されて開催の運びとなった展示である。レンゾ・…

『綴り字のシーズン』

カバラを信奉する大学教授の父(リチャード・ギア)とユダヤ教の薫陶を受けて育つ男女の兄弟。科学者の妻は結婚する時にカトリックからユダヤ教へと改宗している。父は世界が誕生したと同時に砕け散ってしまった聖杯(世界)が正義の力によって再び組み直さ…

泰明小学校にて

日曜日のイベントに使われた泰明小学校は、銀座の繁華街から少し外れたところにある。今までに銀座周辺を幾度となく歩いてはいるが、近くに小学校があることは今回のイベントに参加するまで知らず、当然学校の前を通ったこともなかった。少し奥まった場所に…

明日の展示

小降りの雨程度であれば、テントを張って開催するとのことです。 15の画廊を一挙に見られる機会ですので、お時間がございましたら御高覧ください。http://d.hatena.ne.jp/uedakazuhiko/20060503/1146672502http://home2.highway.ne.jp/ay-flux/aozora/ 追記 …

ショーシャンクの空に

人が内省を強いられる状況に置かれた時、精神は肉体を牢獄として認識することがある。刑務所や捕虜が作品のテーマとなる時、常にそうした精神の働きが暗に伏線として働いている。ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』においても、激しい労…

古谷利裕展 吉祥寺 A-things

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スクエアなロウ・キャンバスに、絵具が混入されたジェッソによって、独特の乾いた質感を持った斑点に近い色彩群が鏤められている。多くの作品で、色彩の斑点はキャンバスの中央付近を基点に配されており、これらの作品群が、はじめ、木枠に張られる前のキャ…

雨天の場合

明日の7日は「あおざおらDEアート」の日ですが、雨天の場合は5/14に延期となります。 現時点(6日18時40分)の天気予報を見ると、思わしくない状況ですね。http://weathernews.jp/pinpoint/cgi/search_result.fcgi?service=1&post=1040061&name=%5b104%2d006…

5/7 6:44 追記

悪天候が予想されるため、本日のイベントは中止となりました。よって、一週間後の14日に延期されます。

作品展示のお知らせ

「銀座 あおぞらDEアート」に出展します。2006 5/7 sun 11:00〜16:00泰明小学校 中央区銀座5-1-131日だけのイベントです。 詳細は下記のホームページをご覧ください。http://home2.highway.ne.jp/ay-flux/aozora/

『家庭』

フランソワ・トリュフォー監督の『家庭 (1970)』を10年ぶりくらいに見返す。今改めて見ると、初見の頃に多少なりとも意識された「物語性の解体」や「音と映像との分離」などの教科書的なヌーヴェル・ヴァーグ観というものはそれほど意識されずに、むしろチャ…

情報とは交換可能性を指す。まったく異質なモノ同士の間に共通の回路が発見された際に、情報が発信される。情報にタイミングなどという指標は存在しない。事件が決定的な瞬間と意識された時点で、それはすでに情報ではない。商品と貨幣の交換とは情報である。

左翼陣営の理論には持続可能性という視点が欠けている。多くは荒唐無稽な空想に耽るものや、恐慌待望論に陥りがちとなる。恐慌も経済の長期波動の前では無力な姿を晒す。一瞬で出来ることには限界があり、理念と思われていたものは美的な記憶に回収される。

「杉本博司 時間の終わり」展 森美術館

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杉本博司の写真はその仕掛けの巧妙さが災いしてか、頭で理解してしまうと途端に面白味が欠けてしまう。作品を構成している、観念と物質に明確な線引きを行なうその明晰さには共感出来る部分が多いものの、杉本がもう一つの掛金とする工芸的とも言い得る完成…

展覧会のお知らせ

若き画家たちからのメッセージ2006場所 すどう美術館東京都中央区銀座6-13-7 新保ビル4F (TEL) 03-3547-1016会期 2006 2/14(tue.)〜2/19(sun.)時間 11:00〜19:00(火〜金) 11:00〜17:00(土日) - snowfort場所 gallery hibiya東京都千代田区有楽町…

折れた刷毛

キャンバスに地塗りを施していたら、刷毛の軸が折れた。水を多く含んだ重みのある毛の部分に対して、キャンバス目の凹凸による抵抗や腕の力が加わって、細い軸には相当な負荷がかかっていたのだろう。「バキッ」という木材の小気味の良い音がした次の瞬間に…

冬の寒さ

この冬は、戦後最大の寒波が来ているらしい。温度のように日々少しづつ移り変わってゆくものは、なかなかその実感が掴みづらく、初冬に入った時分に体感温度で変異を感じてはいても、最初頭では納得しない。気温が毎年変わるものという認識がまず頭から抜け…