泰明小学校にて

日曜日のイベントに使われた泰明小学校は、銀座の繁華街から少し外れたところにある。今までに銀座周辺を幾度となく歩いてはいるが、近くに小学校があることは今回のイベントに参加するまで知らず、当然学校の前を通ったこともなかった。少し奥まった場所にあることに加え、校庭として相当の敷地がブランクとして確保してあることもあり、環境は思ったよりずっと静かである。イベントをやっているせいで、人が出す様々な音は始終響いているのだが、一定の敷地が確保されているというような、環境自体がもつ静けさは音の背後に留まり続け、空気のようなものとして場所を包んでいる。校門の目の前に建っている、カフェ・オーバカナルの太めのセリフ体が特徴的な黄色い看板が小学校というコンテクストとの間で奇妙なコントラストを描いているが、アーチ型の校舎の窓や外塀、装飾的な黒い鉄製門が視覚的には調和をもたらしてもいるようだ。2月に展示でお世話になったギャラリーのオーナーが見にいらして、学校の歴史的なお話を伺った(泰明小学校出身)。会話の中で、「最近物騒な事件が多発しているのによく場所を貸してくれたものだね」という話題が出て、突然昼間良く晴れていた学校周辺に薄い影が射し始めたように感じられた。