二つのシンポジウムの文字起こしを一部担当している。これがなかなか面白い作業で、論点は下に貼り付けたお二人の発言に集約されているかと思うが、個人的には語り手の語り方の癖を明晰に意識することができたのが収穫だった。これは、録音を聞くだけではダメなので、雲のように不定形な「声」による表現を、エクリチュールに落とし込むことによって、語りと書き文字という二つの位相の間を経験が通過してゆく特異なあり方だと思う。

櫻井 拓 @sakurai1031
@nagasek 素材をじっくり観察できるのは面白いですし、どういうふうに起こすかの裁量がかなりありますよね。非常にクリエイティブな仕事だと思っていて、時間はかかりますが、個人的には好きな作業です。


永瀬恭一 @nagasek
@sakurai1031 櫻井さんと対等にこの話題を語れる能力もございませんが、語りと記述のきわどい境界線を歩く感覚はありますね。いわば時間の風の中に消えていく語りを、時間に刻印する記述にする際に必然的に開く変換のクレバスがある。なかなかスリリングです。