永瀬恭一さんが、組立のグレコを巡る対談について後書きを書いている。

 http://d.hatena.ne.jp/eyck/20130301

 ほかならぬ、外から来たグレコが生産-消費というサイクルを作ったという視点は面白い。商業の基本は距離の差を価格の差に転嫁して利益を上げることだが、そうした視点から考えると、グレコのスペイン様式は意図的に作り出されたエキゾチックな様式であると言い換えることができるかもしれない。外国人たることを、自己のアイデンティティーとして生涯手放さなかったグレコの戦略とも合致する。またそれは、戦後の日本の漫画家が、西洋絵画を参照しつつ日本人離れしたエキゾチックな顔のキャラクターを造形したことにも通じるだろう。つまり、永瀬さんの言うグレコポストモダン性は、そのポストモダン性において、時を超え、媒介性の連鎖として二重に機能していることになる。