2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

夕暮れ時に窓から外を眺めると、遠くに見える森の木立は霧雨で煙り、薄墨を幅広の刷毛で一振り認めるには、このような湿度が齎す気配が必定に相違無しと思い至る。細かく動く薄灰色の靄が視覚の届く範囲を支配しているために、手近にある木の葉の緑の濃さが…

Lee FRIEDLANDER RETROSPECTIVE

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RATHOLE GALLERYで、リー・フリードランダーの回顧展。フリードランダーの写真には、いつも透明な視線を遮る干渉物が介在している。それは、写真によって撮られたテレビなどの映像であり、鏡であり、ショーウィンドウのガラスであり、白目を剥き、被写体らし…

柳健司展 秋山画廊

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千駄ヶ谷を歩いていると、古い民芸店を見つけた。中に入ると、現代の物で手頃な値段ながら、健康な用の美に貫かれた品が多かった。窯元が多治見にあるという陶器の小皿を一枚買った。秋山画廊で、柳健司展を見る。大胆な筆の筆触を活かし、白と黒だけで描か…

粗句羅手須不羅屯亜利巣戸手烈

デッサン

デッサンをすると、視覚が能動的になり、色々なものが眼に飛び込んで来る。写真を撮る時にも、異様に物が見えるようになることがあるが、それは、ともすると「無限のくりかえし」*1に陥ってしまう可能性のある明晰さであり、デッサンによる手の動きを伴った…

はしご

不思議な場所にはしごが掛かっているのを見かけた。道路からはしごの掛かっている場所まで登るには、斜面が急な上に距離が長いし、庭から垣根を乗り越えるにしても、植え込みには何か作業ができるほどの足場がない。老猫のための通路かと想像してみたが、そ…