岸浩コレクション展

 ギャラリー・アニータで岸浩コレクション展を観た。ジョルジュ・ルオーやマーク・トビーの版画、古茂田守介の油彩(静物画)など。古茂田守介のことは洲之内徹の本を読んで知っていたが、これまで実物を観る機会が無かった。ギャラリーの方のお話によると、そもそも岸浩氏が画家になるきっかけとなったのが、同じ松山出身であった古茂田守介の絵を観たことであったという。そういえば洲之内徹も松山出身である。洲之内は本の中で故郷の松山を、強固な意志を持って生活しなければ全てがのっぺりとした時間の中へと流されてしまう場所というように忌々しげに語っていた。昨年の夏、展覧会に参加するために大分へ向かった折、大阪から関西汽船のフェリーに乗り、途中松山へ寄港した。私にとっての松山は、水蒸気で満たされた壜の中に閉じ込められるように、息苦しいほどの過剰な水に支配された場所であると思えた。