アントニオ・ネグリ来日中止

 来日予定であったアントニオ・ネグリ氏が渡航間際になって、日本の外務省から不要のはずであったビザ申請と、ネグリ氏が政治犯であったことを証明する書類の提出を求められたが、膨大なイタリア語書類の入手が難しく来日を断念したようだ。

 小泉政権下の民営化論議が盛んであった頃、民営化陣営の代表的な論客であった竹中平蔵氏は、「頑張った人が報われる社会を」としきりにプロパガンダを行っていたが、現状は「労働者として」頑張っても報われない社会となっている。構造改革の内実を隠して、アメリカ政府の要求を丸飲みした日本政府は、不可解な理由によってネグリ氏の渡航を阻止したと見られても仕方がないだろう。政府による民営化論議プロパガンダであったとすれば、労働者の啓蒙に繋がる人物の渡航を阻止することは、極めて理にかなった行動であるからだ。