絵画を制作していると、道中で当然破綻する。破綻の中にも良い破綻と悪い破綻とがあって、なしくずしに悪い方へ進んでしまうと、実際はそうではないのだが、徒労感だけが残されるようでなかなか筆を置くことができない。反対に、結果的に画面を破壊したことによって、問題となる壁をのり越えたように思えるとき、それは良い破綻であると思える。眠気と疲労によって頭が活動しなくなったとき、次の日への期待を胸に、安らかに筆を置く。一方、破綻を経験せずに、簡単に作品が出来てしまうこともある。それが良い作品の場合もあれば、悪い作品の場合もある。悪い作品である場合、日が経つにつれて、作品のアラが目に付き始める。今も目に付くところに、数ヶ月放置され、アラが目につきはじめた作品がある。そのキャンバスは、数日以内に新たな筆によって潰されるだろう。