迎えに来る

 部屋の窓が、隣家の庭の一角に面している。窓枠は丁度、その庭に生えた柿の木を切り取っており、その向こうには遠くの団地が空の下に聳えている。今年もその柿の木には多くの実がなったのだが、それらの実は例年通り今も収穫されずに残されている。そうこうしている内に、柿の実が段々に熟れて、果肉が軟らかくなってくると、さまざまな野鳥がその実をついばみに来る。机に向かうのに疲れて後ろを振り向くと、いつも何かしらの鳥が果実を食べているのを見ることができるので、この季節になると自然と野鳥を観察することになる。

 日が暮れて、家の前まで帰ってくると斜面の上にあるマンホールから水のせせらぎが聞こえてきた。水の音が聞こえると、つい耳を傾けてしまう。かつての私がそうであったように、今でも都会に住む子供たちは、マンホールを流れる水の音に親しんでいるのだろう。そこに、何かの合図を聞くようにして。