人間の犯した罪は、奇跡的な一回性によってのみ、赦されるのでなければならない。罪人の懺悔に伴い、赦す側に互酬的な感情が発生することを前提とするならば、可能世界において、そのような赦しが先取りされるという事態が起こり得るからである。赦しが一回性という形で、コミュニケーション上の外部として、偶然性の中にあるからこそ、可能世界が現実世界を歪めることを阻止できるのだ。