パパ・タラフマラ 『HERT of GOLD-百年の孤独』 世田谷パブリックシアター

パパ・タラフマラによる、ガルシア・マルケスの原作を劇化した舞台。ダンス、歌、演劇、映像、ラップなど、マルチメディアを駆使した演出は、以前の『ストリート・オブ・クロコダイル』以来の傾向で、これは渾沌としたマルケスの原作を表現する上では有効な手段であったのだろう。時にやり過ぎとも感じる、仕掛けや出し物がカーニバル的な色彩を一層強めており、個々の細かい不徹底さを演劇の力で押し切る、この劇団特有の方法論に、原作をしっかりと従属させ、嵌め込んでゆく作りとなっている。

勿論、部分部分をしっかりと見れば、素晴らしいキレを見せるダンスや、異常な体位、前衛的な意識が濃厚な発声法による奇声が、それ自身のみで劇団の独自性を強く醸成していることは理解できるのだが、それらのパターン化した組み合わせや、ぶつ切りにされた舞台進行が、『百年の孤独』をこの劇団が演じる必然性に一瞬の疑問を孕ませるのである。

原作を演じることの説得力の欠如を、多様に盛り込まれたエンターテイメント性により補う。現時点では、このような見方が正直な感想である。しかし、演出の小池博史が言うように、この作品が25年に及ぶ劇団史の到達点であると同時に出発点でもあることは確かだろう。

最後に、方法論的な断念こそが作品を深化させるということを申し添えておきたいと思う。「新しさ」というものは、意識して作るものではない。

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