浜田知明

町田市立国際版画美術館で浜田知明展を観る。反重力という諷刺劇が、版画というミクロコスモスのなかで、無限に展開される。版画家でありながら、テクニックに溺れない稀有な作家。対象の認識は限りなくリアルでありながら、支持体を前にした時の躓きが版上に刻印されている。それはつまり、体験と作り出したイメージとの齟齬に対して、どこまでも自覚的であるということだ。雑誌等に寄稿した文章や彫刻も素晴らしかった。