TABULAEで辻可愛「ちるちり」を観る。形態同士のフラジャイルなシンタックスがテーマとなっているように感じた。複数のべニヤ板が連結されたタブローは、それぞれのピースの組替え可能性が担保されつつ、絵具が支持体へと浸透し、形態の輪郭が曖昧になることで作品を成立させるためのフレームの存在が再考されている。ガーゼ状の布を壁面に構成した作品は、布同士が重なり合って出来るレイヤーが視線の奥に向かって可視化されるのと共に、横へと展開可能な形式が既存のフレームを超える在り方を示していて新鮮だった。しかし、それは全く自由に広がっているというのではなく、形態同士を結びつける接点となる文法が備わっているために、フラジャイルな形式でありながらも、作品を見飽きないものにしていると思われた。