工学的な計算によっては、コンクリートによる巨大なパネルでさえも、巨大なボルトによる制御可能な材料として取り扱われる。しかし、一旦事故が起きればそれは、生身の人間にとって制御不可能な地獄として出現する。全ての近代的構築物は同じ条件によって規定されている。ポール・ヴィリリオは、「実体の発明は同時に事故の発明である」と言っている。構築物の破綻を導く事故は、人災や自然災害によって起こりやすいが、可能的には常に実体の背後には事故がまとわり付いているということだ。それは物体性が持つ現実性を我々に突きつけている。