福島原発に関する補償問題について。日本の電力会社は独占企業に近いため、価格決定権を持っている。国が電力価格の値上げを厳しく監視しなければ、一企業による補償と、税による国民負担との境界が曖昧になるだろう。独占企業による電力価格の値上げは、効力としては徴税に限りなく近づくからだ。加えて、今回提出された東電賠償スキームでは、政府も5兆円規模の交付国債発行による資金援助や資本注入を想定している。将来的に優先株式売却による資金回収の可能性があるとしても、当面は国債発行によって発生する赤字による弊害(金利等)は税によって負担せざるをえない。電力が無くても生きていくことは出来るが、国家による徴税権からは逃れることはできない。電力自由化を推進することで、購買者が自由に供給者を選ぶことができるようにすることはひとつの可能性として存在しているが、新規参入者は火力電源の使用が現実的なので燃料価格上昇の煽りを受けやすく、また送電線を借りなければならないので強い競争力が見込めない。悪循環から脱するために残された選択肢は、自家発電か新技術による発電か、既存電力のボイコット(つまり電気を使わない)くらいだろうか。