毎日新聞の記事

米国:芸術家の卵、NY離れ 景気回復遅れ、家賃高止まり 「工房維持できない」
http://mainichi.jp/select/world/news/20110218ddm007030038000c.html

 ニューヨークにおいて、芸術・文化によるジェントリフィケーション(都心部の再生のための高級化)が飽和状態に達し、若い芸術家などが生息する隙間が失われている。価格差を利潤の源泉とする、資本の回転が終局まで来たということだ。地価が上がれば、自然、ギャラリーも冒険的な企画ができず、利潤が高く評価の定まった作家を扱うバイアスがかかるだろう。競争力を持たない小さなギャラリーは潰れ、GAGOSIANのような巨大なギャラリーが幅をきかせてくる。それは、実体経済を金融経済が凌駕するように、オークションシステムを基盤とした芸術の金融化が進行していることを意味している。他国に下からのエンジン(搾取の対象)を奪われて、業界そのものが静かに衰退するか、恐慌が起き、地価が急落し、再び乱世が始まるか。もはや、近代の芸術理念を体現した、目利きという存在の可能性自体が失われ、美術史の進展の自己目的化さえもが飽和した中で、芸術的な価値の遍在化が進行していることが徴候的に現れている。しかし、金相場の高止まりが続く限り、アメリカの覇権は変わらないだろう。アメリカが没落し、芸術的な価値の遍在化が現実のものとなるのは、アメリカの経済的な破綻と同時に、金相場が暴落する時だろう。


世界各国の金(きん)保有
http://www.garbagenews.net/archives/1668522.html