三菱一号館美術館で「マネとモダン・パリ」展。
南天子画廊で伊部年彦展「ふり返るといる ふり返るといない」。

 国内で実物を観る機会が少ないことや、マネ自身が、敢えて官展に留まり続けたことなどにも原因があるのかもしれないが、日本での印象派理解に欠けているように思われるのがマネとドガである。詳細は控えるが、必ず観るべき展示である。この展覧会ではドガの「ル・ペルティエ街のオペラ座の稽古場」も観ることができる。

 伊部年彦展。純粋な抽象性を志向することなく、発生する図像にこだわりながら、容易に物語へと回収されない点が素晴らしい。作品に詩が存在し、色彩も美しい。表面から奥へと向かって円錐形の絵画空間が発生している。クレーの絵画にある美点の多くを具えている。