詩句

水面に生きものの気配無し隅田川行く舟の提灯赤し隅田川

老猫の末期の声や百足草

土より出て飛ばず

丸窓に地蔵抱きし紫陽花寺 (鎌倉にて)

花と色彩とはひとつのものではない 「ホーム」から溢れ出て鈴なりに落ちてゆく人々 今では使われずに残された私書箱に 到来させるための身振りだけが連なる

てんぐのかずあそび

下草に黄色の花落ち葉を照らす

真夜中に風鈴の音だけが鳴っている