荒木経惟・KaoRi

モデルに対しては私写真だから契約関係に無いと言って対価を渡さず、写真家自身は外部から商業的な対価を得ている。
古典的な搾取の構造を、アーティストであるという一点において免罪可能と考え、同時に男ー女、写真家ーモデルという固定された力関係を誇示することで、それを自身の作家イメージとしてブランディングに利用する。
それが可能となってきたのは、日本の写真・アート業界にこのようなセクハラ・パワハラを許容し、更には自らの内に明確な批評基準を持たず、売れているものに追随するという体質があったからだ。
今日本の美術業界に必要なのは、もはや市場ではなく、契約と批評という外圧である。

https://note.mu/kaori_la_danse/n/nb0b7c2a59b65

TABULAEで辻可愛「ちるちり」を観る。形態同士のフラジャイルなシンタックスがテーマとなっているように感じた。複数のべニヤ板が連結されたタブローは、それぞれのピースの組替え可能性が担保されつつ、絵具が支持体へと浸透し、形態の輪郭が曖昧になることで作品を成立させるためのフレームの存在が再考されている。ガーゼ状の布を壁面に構成した作品は、布同士が重なり合って出来るレイヤーが視線の奥に向かって可視化されるのと共に、横へと展開可能な形式が既存のフレームを超える在り方を示していて新鮮だった。しかし、それは全く自由に広がっているというのではなく、形態同士を結びつける接点となる文法が備わっているために、フラジャイルな形式でありながらも、作品を見飽きないものにしていると思われた。

西村賢太「陋劣夜曲」(『群像』1月号)

希望無き生の心理、内実を異様なまでに細かなディティールをもって描き切っている。
一つ一つのアクションが時間を無数に分割し、読む者の時間意識を変容させる様は、ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』を思い出させる(若者の鬱屈した感情を描くという観点では中上健次の『十九歳の地図』)。
リアルな描写が感覚に訴えると共に、愚かな行為が硬い文体によって表現されることによりユーモアを発する。
久しぶりに小説を読みながら笑った。

UEDA Kazuhiko Exhibition


7年振りに個展を行います。
また、同時期に開催されるグループ展にも出品します。

ご高覧の上、ご高評賜れば幸いです。


2017
UEDA Kazuhiko Exhibition

5/11(木)〜5/28(日)
OPEN 木・金・土・日 12:00-19:00
CLOSE 月・火・水

土日画廊

〒164-0002東京都中野区上高田3-15-2
TEL 03-5343-1842
http://donichigaroh.com/

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時のかたち展

2017
5/9(火)〜5/14(日)
10:00-18:00
初日13:00開場 最終日16:00閉場(入場は17:30まで)

横浜市民ギャラリー 1階・2階展示室
TEL 045-315-2828
http://ycag.yafjp.org/
JR桜木町より徒歩10分 東口タクシー乗り場付近から無料送迎車あり

 2017年5月21日より、丸亀市のARTLAND Galleryで行われる櫻井伸也展のパンフレットにテキストを提供しました。昨年ART CRITIQUE web版に寄稿したものに、加筆修正を加えた内容です。横浜での展覧会と同様に、青をテーマとしたシリーズを展示するとのこと。

http://artland-gallery.jp/